光を掴んだその先に。─After story─
私は今、高校3年生。
もちろんみんな自分の進路に向かっていて、そんな中で私は就職でも進学でもない。
…今のところは。
でもきっとどちらにせよ、したければさせてくれるだろうけど…。
『…俺のとこに来い』
それはほんの数日前だった。
進路はどうするんだ、と聞いてきた彼はポツリと会話の中でサラッと言ってきた。
もちろん返事なんかできなくて、理解するより前に電話に呼ばれて終わってしまった会話。
俺のとこに来い……って…。
それは……どういう意味…?
「就職にしようかなぁってのも考えてて、だからバイトで経験積んでおきたいのに。そしたら駄目って言われてさ…」
「え、だってお前、那岐さんのとこに嫁ぐんじゃないのかよ」
「なっ!私たちはそんなに簡単じゃないし軽々しく言える立場でもないの…!!そもそも絃織が私みたいなの選ぶと思う!?」
ついマシンガンに言っちゃった…。
“絃織”なんて呼べるのは私の特権だ。
でもお付き合いと結婚は、ちがう。
恋人と夫婦は、ちがう。
私の脳内はそんなもので構成されていて。
それに極道の世界は女だって肝が据わっていなければ駄目だ。
私みたいなのが若頭のお嫁さんだなんて、そんなの彼の名を汚すだけにしかならない…。
「…お前それ、那岐さんにぜったい言わないほうがいいぞ」
「え、なんで…?」
「荒れそう」
もちろん言うつもりはないけど…。
荒れるって…なにが。