光を掴んだその先に。─After story─
「おかえりー。あれ?落ちた?」
「随時連絡待ちだよっ!!」
屋敷に戻れば、陽太は案の定といったところだ。
うん、本当はもう落ちたようなものだけど。でも連絡を待つ時間くらいは期待したっていいだろう。
「まぁ最初なんてそんなもんでしょー。で、どんな会社だっけ?」
「お菓子のマーケティング…」
「社名だよ社名」
「……“株式会社ワイズinc.”」
ヘトヘトだ。
もうすっごいヘトヘト。
電車に乗って会社を探して、そしたら精神ズタズタにされるような質問ばかりで…。
ひとりで頑張りたいからと、陽太にも俊吾にも送迎は頼まなかった。
「へぇ…わりと大手じゃん。ふむふむ、あーー…ここねぇ。たぶん受かるよ」
「うん、次探す………えっ!?なんて!?」
受かる……?
私と正反対のこと言ったよね…!?
「一次通過おめでとー」
「なんで!?確実に落ちたはずなのに!」
「まぁいずれ分かるさ」
パソコン片手にハッキング。
そんな当たり前の動きは天才ハッカーならば日常茶飯事。
でも、受かった…?
いやいやそんなはずない。
どうせまたデタラメ言ってからかってるだけなんだから。
「……え、本当ですか!?」
『はい、ぜひ二次面接にお越し下さい』
「あの、でも派遣社員なんですよね…?」
『…いえ。天城様の場合は一般社員としての扱いになります』
数日後、その結果は奴の言ったとおりとなってしまった。
二次面接は複数で行われるという。
CEOである幹部を交えて、一次通過した面接者が4人同時だと。
それに受かれば採用だ。