内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
祐奈のアパートに、彼女がやってきた頃だ。
婚約間近だというあの言葉と、関係はあるのだろうか。
「もう、お父さま、やめてくださいこんな場で」
奈々美が可愛らしく頬を染める。そして大雅に向かってしおらしく頭を下げた。
「副社長、すみません。業務に関係のないことを」
「いや、大丈夫だよ」
ふたりのそんなやり取りも、祐奈は直視できなかった。
混乱する頭の中を様々な思いが駆け巡る。
もし彼女と大雅の間になにか特別なものがあったとして、祐奈が来るとわかっているこの場に、連れてくるはずがない。だから彼と彼女との関係はただの上司と部下なのだ。
でも一時期は、"婚約間近"だったというふたりがなにごともなかったかのように同じ職場にいるなんて、そんなことありえるのだろうか。
だとしたらやっぱりふたりは……。
それに彼女の父親と大雅のこの親しげな様子……。
祐奈は膝の上に置いた手をギュッと握りしめる。胸の鼓動が嫌なリズムを刻みはじめた。
「娘からは、副社長には本当にお世話になっていると聞いとりますよ」
そう言ってまたはははと笑う頭取の言葉に、祐奈は思わず目を閉じた。
その時。
コンコンとドアがノックされて少し前に電話が入り、席を外していた山城が入室した。そしてなにやら大雅に耳打ちをする。
大雅は一瞬眉を寄せて少し考えてから頷くと、一同に向かって口を開いた。
「申し訳ありませんが、別件で本社と連絡を取りたいので、少し席を外させていただきます。……大泉さん、君はここで留守番をしてて」
奈々美が頷いたのを確認してから頭を下げて、大雅と山城が部屋を出て行く。
つられるように頭取も「ちょっと私も電話を一本」などと言って退室した。
大物ふたりがいなくなって心なしか少し緊張が緩んだ部屋で、役員の男性が、口を開いた。
「それにしても噂には聞いていましたが、天沢副社長は本当に男前ですね」
誰ともなく言った彼のその言葉に、一同はうんうんと頷いた。
「うちの頭取は、以前から天沢副社長が大のお気に入りなんです。いい男だ娘の婿になってほしいと何度聞かされたことか。副社長に奈々美ちゃんの社会勉強をお願いしたのもそういう意図があってのことだというのが、もっぱらの噂なんですよ……」
そう言って男性は意味深な視線を奈々美に送る。
婚約間近だというあの言葉と、関係はあるのだろうか。
「もう、お父さま、やめてくださいこんな場で」
奈々美が可愛らしく頬を染める。そして大雅に向かってしおらしく頭を下げた。
「副社長、すみません。業務に関係のないことを」
「いや、大丈夫だよ」
ふたりのそんなやり取りも、祐奈は直視できなかった。
混乱する頭の中を様々な思いが駆け巡る。
もし彼女と大雅の間になにか特別なものがあったとして、祐奈が来るとわかっているこの場に、連れてくるはずがない。だから彼と彼女との関係はただの上司と部下なのだ。
でも一時期は、"婚約間近"だったというふたりがなにごともなかったかのように同じ職場にいるなんて、そんなことありえるのだろうか。
だとしたらやっぱりふたりは……。
それに彼女の父親と大雅のこの親しげな様子……。
祐奈は膝の上に置いた手をギュッと握りしめる。胸の鼓動が嫌なリズムを刻みはじめた。
「娘からは、副社長には本当にお世話になっていると聞いとりますよ」
そう言ってまたはははと笑う頭取の言葉に、祐奈は思わず目を閉じた。
その時。
コンコンとドアがノックされて少し前に電話が入り、席を外していた山城が入室した。そしてなにやら大雅に耳打ちをする。
大雅は一瞬眉を寄せて少し考えてから頷くと、一同に向かって口を開いた。
「申し訳ありませんが、別件で本社と連絡を取りたいので、少し席を外させていただきます。……大泉さん、君はここで留守番をしてて」
奈々美が頷いたのを確認してから頭を下げて、大雅と山城が部屋を出て行く。
つられるように頭取も「ちょっと私も電話を一本」などと言って退室した。
大物ふたりがいなくなって心なしか少し緊張が緩んだ部屋で、役員の男性が、口を開いた。
「それにしても噂には聞いていましたが、天沢副社長は本当に男前ですね」
誰ともなく言った彼のその言葉に、一同はうんうんと頷いた。
「うちの頭取は、以前から天沢副社長が大のお気に入りなんです。いい男だ娘の婿になってほしいと何度聞かされたことか。副社長に奈々美ちゃんの社会勉強をお願いしたのもそういう意図があってのことだというのが、もっぱらの噂なんですよ……」
そう言って男性は意味深な視線を奈々美に送る。