内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「やだ、おじさまこんなところで。やめて下さい……困ります」
 奈々美がそう言って満更でもなさそうに頬を染めた。
 どうやらふたりは"奈々美ちゃん""おじさま"と呼び合うくらい親しい仲のようだ。で、あるならば彼がこのようなプライベートは事情を知っていてもおかしくはない。
 一同からへぇ、という声が漏れた。
 男性がカラカラと笑った。
「しかしどうやら奈々美ちゃんのその様子だと、頭取の目論見はうまくいったようだ。こりゃおめでたい話を聞く日も近いかな?」
「もうっ! おじさま。本当にやめて。彼、こういう公私混同が嫌いなんです。こんなところでこんな話が出たって知ったら私が後で怒られちゃう……。彼が戻ってきても絶対にその話はしないでくださいね」
 本当に困惑したように念を押す奈々美に、男性はわかったわかったと請け負う。
「皆さまも、お願いします」
 誰ともなく頭を下げる奈々美に、その場にいる祐奈以外の誰もが笑みを浮かべて頷いた。
 男性の話を奈々美は肯定も否定もしなかったが、彼女の口から出た"彼"という言葉に、皆この話が事実なのだと受け止めている。
「つまり社会勉強と言いながら、お見合いみたいなもんだったんだな」
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