内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 ガタンと椅子を鳴らして大雅は立ち上がる。そして飴色のデスクに両手をついて考えを巡らせた。
 大雅と別れた時期に、祐奈は子を授かった。
 大雅に告げなかったということは大雅ではない別の誰かの子だということなのだろうか。
 ひょっとして大雅と別れる前に、もうすでに……?
 いやそれはありえないと、大雅は思う。
 少なくとも、別れる直前まではふたりは固い信頼関係で結ばれていた。その信頼関係を大雅が壊したことが別れの原因となったのだから。
 ではやはり、自分と別れてすぐに別の誰かの子を授かったのだろうか。
 もちろんその可能性は否定できない。
 できないけれど……。
 大雅は目を閉じてふぅーと深いため息をつく。
 アパートにいた頃の祐奈の笑顔が脳裏に浮かんだ。
 別れはあまりに突然で、呆気なかった。
 大雅が天沢ホテルの副社長だということをどこかで知った祐奈が、一方的に別れを告げてきたのだ。
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