内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「祐奈ちゃんは毎週金曜日のお昼休みに必ず来てくれるんです。ふふふ」
 大雅は、おかみの言葉に「へぇ」と言って祐奈を見た。
「アイスクリームが好きなんだね」 
 そして祐奈にだけわかる少し意味深な視線を祐奈に送る。
 祐奈の胸ががまたどきんと音を立てた。
「……はい」
 頬が熱くなるのを感じながら小さな声で答えると、女将が嬉しそうに捕捉した。
「大和くん……祐奈ちゃんのお子さんが、まだアイスクリームを食べられる年齢じゃないから家では食べられないって、お昼休みに食べてるんだよね。一週間がんばったご褒美だって」
「お、おばさん!」
 ペラペラと祐奈の事情をしゃべってしまう女将を祐奈は少し慌てて止める。
「ははは、ママは大変だな」
 隣で田原がカラカラと笑った。
 それに穏やかに頷いてから、大雅が祐奈ににっこりと笑いかけた。
「じゃあ、今日は僕がご馳走するよ。案内をしていただくお礼に」
「え……?」
 突然の提案に戸惑う祐奈をよそに大雅は内ポケットに手を入れながら、田原に確認をした。
「田原課長、いいですか?」
「ええ、もちろんです。よろしければ副社長もどうぞ」
 田原がニコニコして頷いた。
 祐奈は慌てて固辞をする。
「あの……副社長、結構です。私、勤務中ですし……」
「だって今日は金曜日なのに、君は今日のお昼は私に付き合って昼食だ。アイスクリームを食べられないじゃないか」
 そう言って、大雅は他の人間の分もアイスクリームを注文する。
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