内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「おばさんったら……」
「本当よー。祐奈ちゃんも可愛いけど、キリッとしたタイプじゃないじゃない? だからあれは絶対お父さん側に似たのね……って、……あら、ごめんなさい」
 女将が口を押さえて言葉を切った。
 祐奈がシングルマザーであることに気を遣ってのことだ。
 子供の外見が誰に似たかなど皆が頻繁に口にする話題だが、祐奈の場合は少し周りに気を遣わせてしまうようで、このようなことはたびたびある。
 それを祐奈は少し申し訳ないと思った。
「あ、気にしないでくださいおばさん。……確かに大和は、私よりも……父親の方に似ているような気がします」
 一瞬気まずくなったその場の空気をほぐすように祐奈は言う。
「ああ、そうなの。やっぱり。男前だったんだろねーお父さん」
 女将が少しホッとしたように微笑んだ。
 彼女はおしゃべりで思ったままを口にするから、こんなことはよくあることだった。
 それ自体をどうと思ったことは祐奈はない。
 でもやっぱり大雅がいるこの場ではやめてほしいと祐奈は思った。
「そろそろ先をいきましょう」
 アイスクリームを手にしたまま、祐奈は立ち上がる。
 そして、大雅を見ないようにしながら春の日差しがさんさんと降り注ぐメインストリートへ出た。
 背中に大雅の視線を痛いくらいに感じながら。

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