内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「……宇月温泉へ行く」
やや不機嫌に大雅は答える。
すると奈々美が大袈裟に声をあげた。
「まぁ、つい最近も視察へ行かれたじゃないですか」
「新しく進出する土地には何度も足を運ぶのが私のやり方だ」
「でもプライベートの休暇を使ってですか?」
「……」
その時、またノックの音がして山城が入室した。
「副社長、スケジュールの確認に参りました。……大泉さんは、秘書室へ戻ってください」
立場としては直属の上司にあたる山城に部屋を出るように言われて、奈々美は彼を忌々しそうにちらりと睨む。
でもすぐに気を撮り直したように大雅に向けてにっこりとした。
「プライベートで宇月に行かれるなら、ご一緒したかったです。次は誘ってくださいね」
そう言って茶色い巻毛を揺らして退出する。
バタンとドアが閉まると同時に山城が口を開いた。
「プライベートで行かれるんですか。宇月に」
「そうだ」
「それは……明日?」
「ああ」
大雅は少しやけっぱちになっておざなりに答える。
天沢ホテルのような大企業の取締役ともなると、プライベートなどあってないようなものだ。今奈々美が言った通り、プライベートであっても居場所をはっきりさせておく方がいい。
それはそうだとわかっている。
わかっていても、時折窮屈でたまらないという気分になるのはどうしようもなかった。
祐奈と会っていた頃は、彼女との時間がその鬱屈とした気持ちをうまく中和してくれたのだが。
山城が少し考えてから、やや遠慮がちに口を開いた。
「副社長、宇月町役場の秋月さんと……そのお子さんに関しまして、こちらでわかることをお調べしましょうか」
山城の言葉に大雅は彼のノンフレームメガネの瞳をジッと見つめる。
やや不機嫌に大雅は答える。
すると奈々美が大袈裟に声をあげた。
「まぁ、つい最近も視察へ行かれたじゃないですか」
「新しく進出する土地には何度も足を運ぶのが私のやり方だ」
「でもプライベートの休暇を使ってですか?」
「……」
その時、またノックの音がして山城が入室した。
「副社長、スケジュールの確認に参りました。……大泉さんは、秘書室へ戻ってください」
立場としては直属の上司にあたる山城に部屋を出るように言われて、奈々美は彼を忌々しそうにちらりと睨む。
でもすぐに気を撮り直したように大雅に向けてにっこりとした。
「プライベートで宇月に行かれるなら、ご一緒したかったです。次は誘ってくださいね」
そう言って茶色い巻毛を揺らして退出する。
バタンとドアが閉まると同時に山城が口を開いた。
「プライベートで行かれるんですか。宇月に」
「そうだ」
「それは……明日?」
「ああ」
大雅は少しやけっぱちになっておざなりに答える。
天沢ホテルのような大企業の取締役ともなると、プライベートなどあってないようなものだ。今奈々美が言った通り、プライベートであっても居場所をはっきりさせておく方がいい。
それはそうだとわかっている。
わかっていても、時折窮屈でたまらないという気分になるのはどうしようもなかった。
祐奈と会っていた頃は、彼女との時間がその鬱屈とした気持ちをうまく中和してくれたのだが。
山城が少し考えてから、やや遠慮がちに口を開いた。
「副社長、宇月町役場の秋月さんと……そのお子さんに関しまして、こちらでわかることをお調べしましょうか」
山城の言葉に大雅は彼のノンフレームメガネの瞳をジッと見つめる。