内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
大雅が「よろしく」と微笑んだ。
そして再び祐奈に向かって口を開いた。
「奥山旅館はあの角を曲がった先だよね。この間回ったあたりとは反対方向になるのかな」
「そうです。あちら側は少し静かな通りです。お店は少ないですが、海が見えるので景色がいいですよ。ゆっくり宇月を楽しみたいというお客さまに人気のエリアです」
「楽しみだな」
そう言って大雅が頷いた時。
「あのっ」
真由香が声をあげた。
「奥山旅館はここから少し距離もありますし、途中脇道も多いですから、現地までご案内します……祐奈さんが」
「え?」
祐奈が目を丸くすると、大雅が首を振った。
「いや、大体の場所はわかるから自分で行きますよ。仕事の邪魔をするわけにはいかない」
「邪魔って……私たちの仕事は宇月の案内です。これが仕事なんですよ。天沢さまは大切なお客さまですから、旅館までご案内しなかったって後で課長にバレたら私たちが叱られます」
真由香の言葉はあながち間違いではない。案内員がふたり一組で案内所に立つのは、時に口頭だけでは案内仕切れない客が来た時に現地まで案内することができるようにだ。
大雅が観光課にとって最重要人物だというのも本当だった。
でも案内を祐奈がという案には、素直に頷けなかった。先日の宇月ランドの件が頭に浮かんでしまって。
「でも、奥山旅館はそれほど難しい場所でも……!?」
言いかける祐奈の腕を、真由香がぐいっと引っ張る。
そして耳元で囁いた。
「案内しなきゃ、絶対後から言われますって。でもこんなイケメンを連れて歩くなんて、私には無理! 絶対無理! ひと言も話せないに決まっています。だから祐奈さんお願いです~! 課のお姉さま方には内緒にしますから!」
小声とはいえ、他に客はいない昼下がりの案内所、当然大雅には聞こえてしまっている。
大雅がにっこりとして「じゃあ、お願いしようかな。君たちが叱られないように」と言った。
「どうぞどうぞ、なんなら案内がてらお茶でもしてきてください。奥山旅館が最近始めた和風ブランチプランは評判がいいんですよ」
案内員らしいことを言って手を振る真由香。
「ありがとう」と少しわざとらしいほどに優雅に微笑む大雅。
祐奈は少し憮然としてしぶしぶ頷いたのだった。
そして再び祐奈に向かって口を開いた。
「奥山旅館はあの角を曲がった先だよね。この間回ったあたりとは反対方向になるのかな」
「そうです。あちら側は少し静かな通りです。お店は少ないですが、海が見えるので景色がいいですよ。ゆっくり宇月を楽しみたいというお客さまに人気のエリアです」
「楽しみだな」
そう言って大雅が頷いた時。
「あのっ」
真由香が声をあげた。
「奥山旅館はここから少し距離もありますし、途中脇道も多いですから、現地までご案内します……祐奈さんが」
「え?」
祐奈が目を丸くすると、大雅が首を振った。
「いや、大体の場所はわかるから自分で行きますよ。仕事の邪魔をするわけにはいかない」
「邪魔って……私たちの仕事は宇月の案内です。これが仕事なんですよ。天沢さまは大切なお客さまですから、旅館までご案内しなかったって後で課長にバレたら私たちが叱られます」
真由香の言葉はあながち間違いではない。案内員がふたり一組で案内所に立つのは、時に口頭だけでは案内仕切れない客が来た時に現地まで案内することができるようにだ。
大雅が観光課にとって最重要人物だというのも本当だった。
でも案内を祐奈がという案には、素直に頷けなかった。先日の宇月ランドの件が頭に浮かんでしまって。
「でも、奥山旅館はそれほど難しい場所でも……!?」
言いかける祐奈の腕を、真由香がぐいっと引っ張る。
そして耳元で囁いた。
「案内しなきゃ、絶対後から言われますって。でもこんなイケメンを連れて歩くなんて、私には無理! 絶対無理! ひと言も話せないに決まっています。だから祐奈さんお願いです~! 課のお姉さま方には内緒にしますから!」
小声とはいえ、他に客はいない昼下がりの案内所、当然大雅には聞こえてしまっている。
大雅がにっこりとして「じゃあ、お願いしようかな。君たちが叱られないように」と言った。
「どうぞどうぞ、なんなら案内がてらお茶でもしてきてください。奥山旅館が最近始めた和風ブランチプランは評判がいいんですよ」
案内員らしいことを言って手を振る真由香。
「ありがとう」と少しわざとらしいほどに優雅に微笑む大雅。
祐奈は少し憮然としてしぶしぶ頷いたのだった。