内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
授業参観じゃあるまいし……というのが正直なところだが、べつに不都合があるというわけではない。彼女も一応は大雅の秘書室所属なのだから。
大雅は少し考えて、頷いた。
「好きにしてもらってくれ」
「ありがとうございます」
山城がホッとしたように頭を下げる。
この話をもしも大雅が拒否していたら、しつこく食い下がられて困るのは直属の上司である山城なのだ。
それを思うと申し訳ない気持ちになって、大雅はややためらいながら口を開いた。
「やりにくい思いをさせてしまって、申し訳ない」
率直すぎる大雅の言葉に、山城が一瞬目を開いて苦笑した。
「大丈夫です。同じような立場の方は他にもいらっしゃいますし」
取引先の社長から自分の子供を天沢ホテルで勉強させてほしいといった類の話は、時々あった。
大雅はそれをできるだけ受けるようにしていた。
大雅自身御曹司と呼ばれる立場で、その御曹司が立派に会社を引きいついく人材に育つためには、時に他人の釜の飯を食うという経験が必要だとわかっているからである。
そうやって入社した人物の中には、思いがけずめきめきと頭角を表して、ずっと働いてもらいたいと思う人材に育つことも少なくはない。
だが大泉奈々美に関してはその真逆だった。
彼女の場合、そもそも目的自体が大雅との縁談を成立させたいという不純なもので、しかもそれは断ったにも関わらず、そのまま居座り続けているのだから。
今さら出て行けと言うわけにもいかず、少々頭が痛いというのが本音だった。
「正直言って頭取に大泉さんの件を頼まれた時は、軽い気持ちで引き受けたんだ。縁談がらみだったことを聞かされたのはその後で……」
ずっと自分についてくれている腹心の部下を前に、大雅はつい愚痴めいたことを言ってしまう。
山城がまた苦笑した。
「副社長が、いつまでも独身でいらっしゃるから諦めがつかないんでしょう。副社長にいいお話があればすぐにでも出ていかれると思いますよ」
そして少し意味深な目で大雅を見た。
その視線に、大雅は小さく咳払いをして、彼から目を逸らした。
山城は大雅が祐奈に会いに行ってることにおそらく気がついている。大雅が週に一度きちんと休みを取ること自体、祐奈と再会してからのことだし、そもそも彼は宇月ランド跡地での祐奈と大雅のやりとりを目撃している。
大雅は少し考えて、頷いた。
「好きにしてもらってくれ」
「ありがとうございます」
山城がホッとしたように頭を下げる。
この話をもしも大雅が拒否していたら、しつこく食い下がられて困るのは直属の上司である山城なのだ。
それを思うと申し訳ない気持ちになって、大雅はややためらいながら口を開いた。
「やりにくい思いをさせてしまって、申し訳ない」
率直すぎる大雅の言葉に、山城が一瞬目を開いて苦笑した。
「大丈夫です。同じような立場の方は他にもいらっしゃいますし」
取引先の社長から自分の子供を天沢ホテルで勉強させてほしいといった類の話は、時々あった。
大雅はそれをできるだけ受けるようにしていた。
大雅自身御曹司と呼ばれる立場で、その御曹司が立派に会社を引きいついく人材に育つためには、時に他人の釜の飯を食うという経験が必要だとわかっているからである。
そうやって入社した人物の中には、思いがけずめきめきと頭角を表して、ずっと働いてもらいたいと思う人材に育つことも少なくはない。
だが大泉奈々美に関してはその真逆だった。
彼女の場合、そもそも目的自体が大雅との縁談を成立させたいという不純なもので、しかもそれは断ったにも関わらず、そのまま居座り続けているのだから。
今さら出て行けと言うわけにもいかず、少々頭が痛いというのが本音だった。
「正直言って頭取に大泉さんの件を頼まれた時は、軽い気持ちで引き受けたんだ。縁談がらみだったことを聞かされたのはその後で……」
ずっと自分についてくれている腹心の部下を前に、大雅はつい愚痴めいたことを言ってしまう。
山城がまた苦笑した。
「副社長が、いつまでも独身でいらっしゃるから諦めがつかないんでしょう。副社長にいいお話があればすぐにでも出ていかれると思いますよ」
そして少し意味深な目で大雅を見た。
その視線に、大雅は小さく咳払いをして、彼から目を逸らした。
山城は大雅が祐奈に会いに行ってることにおそらく気がついている。大雅が週に一度きちんと休みを取ること自体、祐奈と再会してからのことだし、そもそも彼は宇月ランド跡地での祐奈と大雅のやりとりを目撃している。