内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 実際その通りだった。
 はじめは大雅を警戒していた大和は、会うと必ずアイスをくれる大雅に徐々に慣れて、今や嬉しそうに抱っこされるまでになった。
 もちろんそれだけじゃなくて、何回も繰り返し絵本を読んでくれたり、高い高いをしてくれたり、たくさん遊んでくれるからでもあるだろうが、一番印象に残っているのは大好きなアイスを食べさせてくれるというところなのだろう。
 最近では家でもアイスを食べさせることもあって、そんな時はカップのアイスを指差して『す!』と言っている。
 だから、まだ言葉が出始めたばかりの大和にとって大雅に対する『す』は、アイスそのものではなく"アイスをくれる人"という意味なのだろう。
 だとしてもおかしかった。
 祐奈はくすくす笑いながら自分のアイスを食べ終える。
「ふふふ、ご馳走さま」
 するとそれを見計らったように大雅に腕をぐいっと引かれた。
「きゃっ‼︎」
 そして頬にちゅっと音を立ててキスをされてしまう。
「な、な、なにするのよ⁉︎」
 祐奈は頬に手を当てて真っ赤になって大雅を睨んだ。
 大雅がべっと舌を出した。
「いつまでも笑っているからだ」
「もう、大雅ったら 大和が見てるのに……」
 でも当の大和はというと、そんな父と母のやりとりはどこ吹く風で呑気に大きなあくびをすると、まるまるとした手で目を擦り始めた。
「大和、眠くなっちゃった?」
 その祐奈の問いかけに大雅ががっかりしたような声を出した。
「もう寝るのか、大和。もう少し起きてたらいいのに」
 大雅の言葉に、祐奈の心が切なく揺れる。
 三人で会う日は、午前中にホテルの部屋に集合して、お昼ご飯を部屋で食べる。そしてデザートのアイスを食べ終える頃に大和が眠たくなって昼寝をする。彼が起きたら、遅くならないうちに帰るというのがだいたいのタイムスケジュールだった。
 だから、大和が寝てしまったら大雅にとって一週間に一度の大和との時間が終わってしまうということになる。
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