内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 祐奈はふるふると首を振り、潤んだ瞳で彼を見つめる。
「そ、そうじゃなくて……!」
「……そうじゃなくて?」
 そうじゃなくて。
「私、まだあなたにちゃんと話せていないのに……」
 あなたに愛される資格はない。
 大雅が優しく微笑んだ。
「待つよ、いつまでも」
 その言葉とは裏腹に、また唇が塞がれる。
「ん……」
 こんな風に熱いキスを重ねれば、言えない想いを混ぜ合えば、胸の中の塊はいつか溶けてしまうだろうか。
 生まれたばかりのあの光に、包まれることができるだろうか。
「祐奈の準備ができるまで、俺はいつまでも君を待つ。だから君はなにも気にしないで、自分のことだけ考えて。……これは俺が勝手にしているだけだから」
「ん……」
 その言葉を免罪符に、祐奈はゆっくり目を閉じて、甘い世界に落ちてゆく。
 柔らかくて温かい彼の愛で、心がいっぱいに満たされてゆく。
 よく晴れた日の原っぱで大雅と大和が手を繋いでいる。笑顔で祐奈を待っている。
 そんな幸せな光景が、頭の中に広がった。

< 92 / 163 >

この作品をシェア

pagetop