【完】片手間にキスをしないで
◇
「なるほどね。解ったよ」
「えっ、本当?!」
即席バンドの演奏が広場に彩を与えていく中。
手錠を鋭く睨みつけていた夏杏耶は、鮎世の言葉にようやく目を輝かせる。
暗号は全部で3つ。1つ目から躓きお先真っ暗だったから、安堵が強く表に出てしまった。
謎解きのルールはシンプル───2つ目の暗号は1つ目の暗号が示す場所に。3つ目の暗号は2つ目の暗号が示す場所に置いてあって。
3つ目の暗号になればようやく、鍵の在処を示してくれるらしい。
……と考えると、やっぱり先は長そうだ。
「でっ、なんて書いてあるの?」
身を乗り出し、夏杏耶はもう一度覗き込む。
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19/26,+,1/26,7/26,5/26
(音を司るものに問え)
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「……やっぱり意味不明……」
そうして奇怪な羅列をなぞると、鮎世は覆った口元から笑みを零した。