【完】片手間にキスをしないで


でも、そっか───静にも、想像できないんだ。


「さ、着替えてこよーっと」

「おう。じゃ、また教室で」

「押忍っ、じゃーね」


帯で簀巻きにした胴着を担ぎ、夏杏耶は渡り廊下を駆け抜けた。

デレ……より、まずは秘め事の方だよね。と、独りでに頷きながら。

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