冷酷無慈悲な騎士団長様は、純粋でとびきり甘い転生者!?
「貴方はダリア国第十七代皇帝の末娘、アストリア・ダリア・サンクチュリア姫。私には勿体ないほど清らかで美しいこの国の宝です」
百点。この頭を強打したダズ様に、最初から会いたかったわ。
「姫には、実写映画版ハーレムルートか、隣国の大魔道士との世界統一聖女ルートを押します。私めは、どこか田舎で貴方の幸せを祈りますので、どうか幸せに」
へ。
彼は頭から流れる血を拭くことなく、真っ直ぐに私を見ている。
私の幸せだけを見てくれている……?
彼が言っていることの一割も理解できなかったけれど、それは彼が頭を打ったせいかもしれない。
いや、頭を打ったせいだ。頭を打ったせいで、心が浄化されたのか、扇から流した毒が、彼の中の毒を相殺してくれたのかもしれない。
「ダズ様は、私との結婚は望んでいなかったということですか」