冷酷無慈悲な騎士団長様は、純粋でとびきり甘い転生者!?
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「ふうん」
くしゃくしゃに手紙を丸めながら、怒りたいのに怒れなくて、ムズムズしていた。
私の好きな香を炊いた紙に書かれた定型文。要約すると『今日も忙しいので、先にねむっていて。食事も済ませてね。今日も君の一日が幸せでありますように』だ。
一週間連続で同じ文章。
つまり私の好きな香でわざわざ紙を炊き、一度に何枚も同じ文章を書き、仕事場(騎士団本部)についたら、私に送っているわけだ。
私の好きなもの、色、花に熟知しているくせに、私の嬉しがることはしたくないらしい。
大体、騎士団長のくせに、兄たちの子どもたちの学園の遠足の護衛だの、隣国との訓練だの、崖崩れの復興だの、そんなの本人自ら行く必要がないじゃない。
『前世、消防士だったので、救済されたら行かねばと血が騒ぐのです』
なんて私には分からない単語で言い訳するし。
そっちがその気ならば、私だって考えがある。
『今日は貴方のために、とびっきりセクシーな姿で待っております。帰ってこなければ、この姿で宮殿を歩き回ります』と、要約すれば、セクシーな下着で準備してますってアピールだ。
その文を送った後、メイドたちとどの服を着ようか悩んでいたときだった。
門をぶち破らんと言わんばかりの勢いで、一頭の馬が走ってきた。
白馬に乗ったダズ様だった。