冷酷無慈悲な騎士団長様は、純粋でとびきり甘い転生者!?

 その言葉に、頭が真っ白になり乾いた笑いが零れた。
 その笑みに、彼が目を見開く。

「貴方、私を誰だと思っているの?」


 末っ子皇女。やっと待ち望んで生まれた唯一の皇女よ。今まで皆の愛情を一身に注がれ、自分がどれほど高貴で大切な存在か知っている。
 ただの人殺しに、慰み者にされるような身分ではない。

「薔薇の花びらを数える間に終わらせるような、男の甲斐性もなく、早撃ちの男なんて此方からお断りよ」

 人殺しと言い放ってやろうかと思ったが、下手をしたら今、ここで殺されるかもしれない。
 そんなことが起これば色んな国の皇族を招いた婚姻の席で、騒ぎを起こせば、うちの国の信用が下がる。

「私を侮辱した発言、絶対に許さないから」

 だったら、私がやってやる。
 家族からも国民からも愛されてる私を、壁のシミを数えてろをロマンチックに、薔薇の花びらの数を数えてろってか。
 死刑だ。死刑で十分だ。
 顔が美しいだけの史上最低な男だ。
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