身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾はにやりと笑い、かすめるだけのキスを落とした。

その声も表情も、凛音が今まで見たことがないほど柔らかく穏やかだ。

よっぽどデザートがお気に召したらしい。

「……張り切りすぎです。私、初めてあんな格好までして……恥ずかしくて忘れてしまいたい……ああ、思い出しちゃうじゃないですか」

凛音は顔を隠すように柊吾の胸に覆い被さり何度も両手で柊吾の体を叩いた。

これまで経験したことのない姿を柊吾に見せた凛音は、思い出すだけで恥ずかしくて全身を隠してしまいたくなる。

初めて教えられた快感に嬌声をあげたことも、記憶から消してしまいたい。

「俺は何度でも思い出せるぞ。甘い……うん、甘いんだよな、凛音は。どこを味わっても極上のデザートっていうか、とにかく甘かった」

柊吾は満足げにそう言って、優しく凛音の背中を何度も撫でる。

落ち着いたばかりの凛音の体はそんな刺激にさえ反応し、背中から脳に鋭いしびれが走った。

思わずあげそうになった声をぐっと飲み込み、凛音は柊吾の胸に耳を当てた。




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