身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
吾の鼓動はまだ少し乱れているが、それは緊張や不安で生じる鼓動の乱れではなく、愛し合った直後だからだ。すぐに治まるだろう。

そして、凛音のことで悩み鼓動が乱れるようなことはもうないはずだ……。

「……大丈夫」

凛音は誰に向けてその言葉を口にしたのか自分でもわからないまま、そっと目を閉じた。

次第に落ち着いていく鼓動が耳に心地よく、徐々に意識が遠のいていく。

胸に抱いた凛音が静かになったのに気づいた柊吾は、足もとにあったブランケットを引き寄せふたりの上にかけた。

「結局、今日も無理をさせたな」

柊吾は我に返ったように謝罪の言葉を口にした。

体調を崩し早退までしている凛音を今夜も抱き潰してしまい、反省している。

それでもその声に後悔など微塵も感じられず、柊吾らしいなと、凛音は眠りの淵で笑みを漏らした。

凛音は今にも眠りに落ちそうな中その声を聞いていた。

疲れてはいるが、柊吾に負けず凛音の体も心も満ち足りている。

恥ずかしいこともたくさんさせられあられもない声を上げ続けていたが、それも幸せな時間だった。

今も柊吾の胸に抱かれ、心の底から幸せだと感じている。


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