身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
いまさらそれを変更してまで柊吾を追いかけるわけにはいかない。

「あー。そういえば。前向きな秘書がいて凛音並みの商品知識を持ってもらうために今回三泊させてラインにも立たせてもらうって瑞生が言ってたな……」

柊吾は仕方がないかとがっくり肩を落とす。

どうやら本気で凛音を北海道に呼び寄せるつもりだったらしい。

「そうか……いつも顔を出す店に凛音を連れて行きたかったんだけど。次にするか」

「……はい。楽しみにしてます」
「だけど二週間か……週末も現地の懇親会に呼ばれてるし……どれだけ働かせるんだよ。まさにブラックだ……」

柊吾は凛音の肩に顔を埋め大きくため息を吐く。

ブラックという言葉は大げさだが、たしかに柊吾の仕事量や責任はかなりのもの。

納得しているにしても文句のひとつやふたつ出るのは仕方がない。

「やっぱり社長の柊吾さんへの期待が大きいんですよ。なんと言っても社長の懐刀。ハギモリビールを背負うイケメン幹部候補は大変ですね」

軽い気持ちで口にした凛音の言葉に、柊吾の体がぴくりと反応する。

そして一瞬の間を置き、ゆっくりと顔を上げた。

「柊吾さん……?」




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