身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
二階と三階の居室にはそれぞれ直通のエレベーターがあるほどの念の入れようだ。

聞けば柊吾はマンションが販売されたと同時に購入し、それから約半年の間引っ越すタイミングを図っていたらしい。

その話を聞いた凛音はぽかんとしながら柊吾に腰を抱かれ寄り添い歩いた。

億はくだらないだろう高級マンションをどうして柊吾が購入できたのかまったくわからない。

けれど、柊吾が単なるサラリーマンではないというのはこれまでの暮らしぶりを見ていてなんとなく気づいていた。

「疲れただろう? 気分はどうだ?」

家の中を見て回った後、リビングの真ん中に置かれたロングソファにふたり並んで腰掛ける。

凛音は二十畳はありそうな広いリビングをキョロキョロと眺めた。

柊吾が揃えた家具はどれもセンスがよくおまけに高価なもののようだ。

今ふたりが座っているソファもスウェーデンの有名なブランドのもの。

電化製品もひと通り揃っていて、そのどれもが最新の上位機種だ。

これまで柊吾と一緒にいてそういう環境に慣れたつもりでいたが、やはり居心地が悪くて落ち着かない。



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