身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「まだ慣れないよな。俺もそうなんだ。結婚してからここに越してくるつもりだったんだけど、思うようにはいかないよな」

柊吾は凛音を抱き寄せると苦笑交じりの息を吐き出した。

「急に連れて来て悪かった。体調はどうだ? 気分は悪くないか」

「平気です。どうしてかな、つわりも目眩もなくて、久しぶりにすっきりしてます。でも」

凛音はそこでいったん言葉を切り、抱き寄せられた身体を起こして柊吾に向き直った。

「私、どうしてここがふたりの家なのかピンとこないし……それにどうしていきなり北海道から帰ってきたんですか? それは全然すっきりしません。それに……」

「それに?」
 
柊吾は凛音に続きを促すように優しく声をかけた。

「それに……あの、おだ……小高香波さんと一緒に食事していたのはどうして……?」

凛音が一番気になるのはそのことだ。

瑞生が電話で話していた内容やネットの写真から柊吾と彼女が結婚すると考えるのは当然で、凛音は柊吾から離れる覚悟までしていたのだ。

けれど、突然目の前に現れた柊吾は凛音と結婚すると言っている。

それも三ヶ月後という超スピード婚。



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