身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
せフレである自分には縁のない言葉だと諦めていた。

それでも柊吾の側にいられればそれでいいと自分に言い聞かせていたけれど、そんな想いはごまかしに過ぎなかったとつくづく実感する。

本当はいつも柊吾に愛されたかった。

そして愛してると言ってもらいたかった。

凛音は柊吾をさらに強く抱きしめ、肩に顔を埋めた。

「柊吾さん……ずっとそう言ってほしかった……愛されたかった。それに、柊吾さんのこと、もっと知りたかった……それに、赤ちゃんのこともすぐに言いたかった」

感情が高ぶり、凛音の口からはそれまでこらえていた想いが次々と溢れ出る。

この一年の想いではない。

それは初めて柊吾を見た高校生のときからの想いだ。

「わかってる。愛してるんだ。何度そう言いたかったか」
 
涙を流ししがみつく凛音を抱きしめ、柊吾は絞り出すような声を吐き出した。



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