身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「おはよう。今日はいつもより早くないか? トラブルでも抱えているなら言ってくれよ」

「トラブルはありません。今日は午前中に来客があるので早めに来たんです。なにか事前に用意しておくものはありますか?」

「いや、とくにないよ。昨日までに用意してくれた資料で十分だ」
 
瑞生はキーボードを打つ手を止め、凛音に視線を向けた。

整った顔立ちと自信に満ちた物腰にはさすがの御曹司という貫禄があり、社内外からの信頼が厚い優秀な社長だ。

そして柊吾にとっては気心が知れた親友であり、入社当時の一時期ふたりは同じ部署で業務に就いていた。

大企業の社長秘書ともなれば、対外的に気を使う場面は多く気を抜けない毎日が続く。

けれど凛音は瑞生の秘書であるという立場に誇りを持ち、やりがいのある日々を楽しんでいる。

ただ、もしも瑞生に伝えるのなら自分ではなく柊吾から伝えた方がいいと考え、深まる柊吾との関係を秘密にしている後ろめたさも同時に抱えている。

もしも瑞生に伝えるのなら自分ではなく柊吾から伝えた方がいい。


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