身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
商品の宣伝になるのならばと発売当初は積極的に取材を受けていた瑞生だが、ただでさえ日々の業務に追われている。

瑞生は苦笑交じりに口を開いた。

「当面、取材は断ってくれないか? これだけ商品が売れに売れている今、宣伝とはいえ時間を捻出して俺が表に出る必要はないだろう。CMも評判がいいし」

「たしかにそうですね。週末から新しいCMが流れますし、宣伝なら国民的アイドルグループの彼らにお任せしましょう」
 
そういえば、今朝柊吾も同じようなことを言っていたのを思い出し、凛音はさすが仲のいいふたりだとくすりと笑った。

現在、プレミアムネクストのCMには圧倒的人気を誇る五人組の男性アイドルグループが出演していている。

彼らが売り上げにかなりの貢献をしているのはたしかだ。

「そういえば、岡崎さんには彼らのコンサートチケットの手配もお願いしたことがあったな。老若男女問わず人気があって驚いたよ。あ、そういえば」
 
瑞生は小さくそうつぶやくと、なにか思いついたように目を細め肩を揺らした。

「……社長?」
 
背もたれに体を預けたまま天井を見上げてクスクス笑う瑞生を、凛音はいぶかしげに見る。



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