身ごもりましたが、結婚できません～御曹司との甘すぎる懐妊事情～

「悪い。いや、そういえば俺のいとこも彼らのファンだったなと思い出しただけだ」

「いとこ、ですか？」

「そう。アナウンサーの小高香波って知ってるか？　母方のいとこなんだ。クールなイメージだけど、実はアイドル好き。うちのＨＰを覗いては何度もあのグループが出てるＣＭを見てるらしい」

「小高香波さん……社長のいとこだったんですか」
　
凛音は驚き目を見開いた。

小高香波といえば、スラリとした抜群のスタイルと美しい顔だけでなく、知的な発言が人気の女性アナウンサーだ。

毎年女子アナランキングの上位に選ばれている。

「昨夜も国会前から中継しているのを見ました。大活躍ですね」
　
たしか瑞生と同い年のはずだ。

ここ数年子どもの貧困について丁寧に取材し、社会に問題を投げかける姿を度々見ている。

瑞生が社長に就任したとき取材に訪れた彼女は、見た目だけでなく話しやすい人柄も好印象だった。

「そうなんだ。活躍しすぎて香波の母親はそろそろ仕事をやめろって言い出してるくらいだ」

「やめろ？　それはもったいないですよ」