身ごもりましたが、結婚できません～御曹司との甘すぎる懐妊事情～
凛音は慌ててその言葉を否定したが、顔を赤くし口ごもる様子に説得力はなくその場で柊吾のファンだと認定された。

凛音は誤解を解こうと口を開いたものの本人の目の前で以前から柊吾を知っていたとは言えず黙り込んだ。

そのときの柊吾は意外にも嫌がる様子は見せず朗らかに笑っていた。

そのリラックスした笑顔は魅力的で、凛音は柊吾からさらに目が離せなくなった。

そして、やはり笑顔の方がずっと素敵だと、凛音は感じた。

凛音は高校生のときに一度だけ一方的に柊吾を見たことがあるのだ。

そのときの柊吾の表情は痛々しく苦しそうだった。

そのときから十年近く、凛音は柊吾を気にかけ幸せであればいいと願っていた。

後日社内で柊吾と顔を合わせたとき、柊吾は気安く凛音に話しかけてきた。

『瑞生のことだからうまくやるのはわかってるけど、なにしろ若すぎる社長だから心配なんだ』

柊吾は若さゆえに厳しい目を向けられる瑞生を心配し、なにかあれば瑞生には内緒で教えてほしいと凛音に頼んだ。

その場でお互いの連絡先を交換し、それ以来凛音と柊吾は電話やメッセージのやりとりを始めた。



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