身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
それに、柊吾が買い揃えるものはどれも凛音には縁のない高価なものばかりだ。

簡単に受け取る気にはなれない。

単なる会社員とは思えない豊かな暮らしぶりに触れるたび、柊吾の身の上について聞いてみたいと思いつつ今も聞けないままだ。

ここでもやはり、自分の立場を考え口が重くなってしまう。

「凛音? だって、の後はなんだ?」
 
柊吾は含みを持たせた声で問いかけながら、瑠依の体をいきなり持ち上げ正面に向けた。

「あ……あの、柊吾さん?」
 
突然柊吾の膝の上に乗せられ、凛音はとっさにバランスを取るように柊吾の首に両腕を回す。

それに応えるように柊吾が凛音の背を撫で、水音が響いた。

「下ろして……恥ずかしい」

柊吾の膝をまたぐように腰を下ろしている体勢が気になり、視線を逸らしうつむいた。

すると、柊吾は洗い立ての凛音の髪を優しい手つきで梳く。

「この髪も体もなにもかも俺が洗って、俺が用意したものを身につけて、俺と同じものを食べる」
 
柊吾の低い声がバスルームに反響し、凛音はおずおずと顔を上げた。

「凛音を閉じ込めて……外野からの面倒なことは全部放り出してひたすらかわいがりたい」


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