百怪談
次の日、私は神社でお払いをしてもらいました。



生まれてくることなく死んでいった小さな命が、私の幸せを妬んでいたのかもしれません。



私がするべきことは、生まれてこなかった小さな命を忘れることではなく、弔うことだったのだと思いました。



あの日から赤ちゃんの幽霊が私の家に現れることはありません。



でもきっと、生まれてこなかったあの子も幸せになりたかったはずなのです。



そう思うと、私の胸は痛みます。



もしもあの子が生まれていたなら、今は三歳なはずなのです。
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