百怪談
次の日、私は門倉さんが病院で亡くなったことを知りました。



それは彼女が交通事故にあってから五日目のことでした。



私があの日、音楽室で見た門倉さんは、いったいなんだったのだろうと、今でも私は思います。



彼女は自分が事故にあったことを理解できていたのでしょうか?



彼女は自分が死んでいることに気づいていたのでしょうか?



もしかしたら、彼女の魂だけが音楽室に戻ってきたのかもしれません。



門倉さんは自分が死んだことにも気づかずに、大好きなピアノを弾いていたのです。
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