百怪談
「災害ってな、ある日突然来て、簡単に人の命を奪っていくんだ。

本当に悪夢かって思うよ。

俺の友達もその災害で死んだんだ」



僕は春樹君の話を聞いて、何だか急に怖くなっていました。



僕はまだ人の死を間近で見たことがありませんでした。



災害で人が死んでいくっていったいどんな光景なのだろうと、僕は漠然とした恐怖の中で考えていたのです。



「公男、寝れなくなったか?」



「ううん。

大丈夫だよ」



僕は春樹君にそう言いましたが、本当は眠気が覚めて眠る自信がありませんでした。



春樹君が僕に教えてくれた災害というものが、僕には得体の知れぬ恐ろしいものに思えていたのです。
< 36 / 72 >

この作品をシェア

pagetop