百怪談
暗い家の中、私は足音を忍ばせながら、愛菜ちゃんの声がする方へと歩いていきました。



田舎の大きな家はしんと静まり返り、愛菜ちゃんの泣き声だけが聞こえてきます。



私は三メートル先も見えないような暗い廊下をまるで怯えている小動物のように、そっとそっと前に進んでいきました。



それはまるで愛菜ちゃんの泣き声に引き寄せられるみたいに……。



私は泣き声が聞こえてくる愛菜ちゃんの部屋の前に着き、立ち止まりました。



そして私は泣いている愛菜ちゃんに話しかけたのです。
< 5 / 72 >

この作品をシェア

pagetop