百怪談
私はそっとドアを開けました。



そのとき急に愛菜ちゃんの泣き声が止まりました。



部屋の中は暗くて、何も見えず、私はドアのすき間から息を殺すようにして、部屋の様子をうかがっていたのです。



さっきまで聞こえていたはずの愛菜ちゃんの泣き声が急に聞こえなくなったのはおかしい。



絶対にこの部屋には何かがあるはず。



でも、その何かがわからず、私がそっと部屋のドアを閉めようとしたとき、部屋の向こう側から愛菜ちゃんの青白い顔が見えました。



私がそれに驚き、声を上げようとした次の瞬間、愛菜ちゃんの冷たい手が私の腕をつかんだのです。



私は怖くなって、悲鳴を上げようとしましたが声が出ません。



私は恐怖に怯えながら、愛菜ちゃんの手を必死に振りほどこうとしていました。
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