最低狩り
***

「それでは、結果は後日、ご連絡させて頂きますので、今日はこれで大丈夫です」

堅苦しい面接が終わり、一気に気が緩む。

「そうですか。ありがとうございました。……ところで、この後、お茶でもどうでしょうか、レディ?」

早速オトしにかかるが、やはりガードが固い。

「まだ仕事があるのでお帰り下さい」
 
これはオトしがいがある。

「では、また。失礼します」

俺はニヤリ、と一つ笑みを浮かべると踵を返した。  

店の外に出ると、甘い香りも、程よい冷気も、すべて暑苦しい熱に変化した。

アスファルトの熱で蒸されながら、腕時計を見る。
 
まだまだ、真奈は学校にいる時間だ。

無限にもありそうなこの時間をどうやって潰そう。

と、突然、冷気が、熱された俺の体半分をなぞった。

冷気の感じた方に、視線を移す。

冷気と共にでてくる爆音につられ、慣れたようにそこに足を踏み入れた。

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