カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
気付いた月城さんが私の顔を覗き込む。
「嫉妬してくれた?」
「それは……はい」
小さな声で肯定すると、月城さんは機嫌良く笑った。
「嬉しいな。写真が挟まっていたことなんて知りもしなかったがこんな風に役立つとは」
月城さんはそう言うとタブレットをローテーブルの上に置き、先程私がしたように、現像された写真と見比べ始めた。
「でもひどいよな。この綾音のあからさまな表情の違い。これを見たらさすがの俺も、綾音のことも、カメラも諦めがついたよ。もっとも俺も武地もこれで最後にするつもりで撮ったんだが」
「ちょっと待ってください」
月城さんの言わんとすることがよく分からなかった。
だって綾音さんがファインダー越しに見つめているのはカメラマンである月城さんで…って、え?
「もしかして」
タブレットの写真と現像された写真を交互に見てから月城さんを見ると月城さんはニコッと微笑んだ。
私はその笑顔に確信を持ち、現像してある写真を手に取って、思い浮かんだ可能性を口にする。
「この写真は武地さんが撮ったんですか?」
「そうだよ」
完全に私の勘違いだった。
まさか撮影した人が別人だったなんて。
「武地と綾音は幼馴染だったんだ」