カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
月城さんは驚いている私の隣で、月城さんがふたりと出会った中学の頃にはすでに相思相愛だったと教えてくれた。
でも武地さんは恋愛に疎くて、悩んだ綾音さんは武地さんと仲が良く、恋愛経験豊富そうな月城さんに相談するようになった。
対する月城さんは初めこそアドバイスするだけだったけど、相談されているうちに情がうつって……。
「でも綾音は武地一筋だったし、綾音の隣に立つのは俺じゃなくて武地が似合っていたから。写真の出来に関係なく身を引いたんだ。綾音を振り向かせる努力すらしなかったし」
月城さんはそう言うけど、ふたりに気を使って気持ちを隠していたのだろう。
それは実際にお会いした時を思い返せばよく分かる。
オープンパーティーの時。
綾音さんは月城さんの前であるにもかかわらず、堂々と武地さんと見つめ合っていた。
もし月城さんが綾音さんに好意を寄せていることを少しでも勘付かせていたら、綾音さんは月城さんの前で武地さんと仲良くすることを遠慮していただろうから。
ただ、月城さんが本気を出せば綾音さんの気持ちを揺れ動かすことくらいは出来ただろうと思わずにいられない。
それをしなかったのはきっと『努力しなかった』のではなく、『努力出来なかった』から。