カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「可愛い子供の写真は親なら撮りたくなるものなのですよ、きっと」
「まぁ、そうなんだろうけど」
月城さんは私の肩に頭を乗せた。
「なんか気が抜けた」
「フフ」
月城さんの仕草が可愛くて肩に乗る月城さんの頭を優しく撫でる。
「武地の店のオープンの日」
月城さんは目を閉じたまま話し出した。
「咲を連れて行ったのは武地に刺激を与えるためだったんだ」
「というのは?」
合いの手を入れると月城さんは続きを話してくれた。
「奏音から咲の撮影はすごく楽しかったと聞いた。それで思いついたんだ。楽しく撮影をする咲の姿を見れば武地も昔を思い出してカメラをまた手に取るんじゃないかって」
「そうだったんですね」
納得の声を上げると月城さんはフッと小さく笑った。
「でも結局、武地がカメラを手にしたのは子供のため、って訳で俺は空回りしていただけだったな」
「友達想いなのは伝わっていますよ、きっと」
「そう、なのかな」
月城さんがため息混じりに呟いたのでまた頭を撫でると月城さんは小さく笑った。