カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「パーティーでは思惑通りにはいかなかったが、咲を選び、連れて行ったのは正解だった。真偽は別としてずっと気になっていたことが解消されたし、癒してくれるし、恋人になれて俺は本当に嬉しいし幸せだ」

そう言うと月城さんは体を起こして私の方に向き直り、私の手を取った。

「咲」

月城さんに見つめられて、私も見つめ返す。

「色々ありがとう」
「お役に立てたなら光栄です」

いつもの月城さんの言葉を借りて返事をすると月城さんは「ハハ」と声に出して笑い、私の体を抱きしめた。

「これからもよろしくな」
「私の方こそ」

月城さんの背中に腕を回し、言葉を重ねる。

「至らない部分は多いですが、引き続きよろしくお願いします」
「末長く、な」

そう言われて頷くと、体が離れ、見つめ合って、笑って、キスを交わした。

「ん……」

甘い吐息が静かな室内に響く。
徐々にキスが深いものになっていき、体の力が抜けて月城さんにもたれる。

「寝室に行こうか」

そう月城さんが囁いた時、電話が鳴った。

「出なくていい」

月城さんはそう言ったけど、着信は切れることなく鳴り続ける。

よほどのことなのだろうとスマートフォンを手に取り画面を見ると、表示されていたのは……。






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