カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「服部くんとはいつの間に仲良くなったんですか?」
奏音さんの着替えを手伝い、主役の二人と服部くんを見送り、月城さんの車に乗ってすぐに聞いた。
「プロポーズが出来ないとか、そういうことまで話す仲になったんですね」
「そうだな。服部が武地の店を気に入ってくれて、不定期だが食事に行くようにはなったな。酒癖は相変わらず悪いが」
ククッと思い出し笑いをする月城さんを見て、複雑な感情が胸に渦巻く。
「どうした?」
無言で窓の外を向いていると月城さんが声を掛けてきた。
「なんかちょっとモヤッとしただけです」
「モヤッと?」
月城さんが復唱した。
「今の話聞いて、月城さんと服部くんが仲良くなったのが嬉しい反面、私が知らないところで月城さんが服部くんと楽しく過ごしていると思ったら服部くんにモヤッとしたんです。カメラ仲間って言ってもらえたのに」
「なんだ、嫉妬してくれたのか」
月城さんに言われて顔がカアっと熱くなる。
「ハハ。嬉しいな」
喜んでいる月城さんの隣で私は顔を背けたまま呟く。
「服部くんにまで嫉妬とか」
「嬉しいよ」
月城さんの方をチラッと見ると、月城さんと目が合い、優しく微笑まれた。
陽が沈み、街灯で顔に陰影が出来ていることも相まって、すごく色っぽい。
「今日、このまま月城さんの家に行ってもいいですか?」
頭で考えるより先に言葉が出た。
対して月城さんは赤信号で止まった拍子にチュッとキスをして答えてくれた。
「今日は帰すつもりなかったよ」
低く囁くような声に胸がときめく。
付き合い始めて一年足らずとは言え、月日を重ねる毎に惹かれていく。
と同時にこの先、万が一別れが来たら、と想像すると苦しくなるのだ。
月城さんの部屋に上がるなり、私は月城さんの背中に抱きついた。