カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

今、何時だろう。

ベッドサイドの時計に目をやると、午後11時をさしていた。

「月城さん」

そういえば食事を取っていないことに気付き、呼びかけてみたものの、返事はない。
やはり疲れていたのだろう。

そっとベッドから出て、シャワーを浴び、身支度を整えてからキッチンに立つ。

グツグツと細かく切った野菜が煮えてきた頃、月城さんが起きてきた。

「よかった、いた」

月城さんは私を背中から抱きしめる。

「急にいなくなっていたから驚いたよ」
「出て行ったりしませんよ?」
「それはそうなんだが」

月城さんは私越しにお鍋の中を覗いた。

「スープ作ってるのか?」
「もう夜も遅いのであまり胃に負担のないものがいいかと思いまして」

シャワーを浴び終えた月城さんに、出来上がったスープをカップに入れて手渡す。
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