カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「うん。咲の料理はなに食べても美味しいよ」
「よかった」
温かいスープが身に沁みる。
いつからか置きっぱなしにしている歯ブラシで二人並んで歯を磨き、またベッドに入る。
「今度、お母さんのところに挨拶に行こう」
「私も、月城さんのご家族に挨拶させてください。あと社長にも」
どんな反応されるだろう。
月城さんのご両親にお会いするのも緊張する。
「大丈夫」
月城さんは私の考えを読むようにそっと手を握ってくれた。
私は隣を向く。
「みんな喜ぶよ。一緒に幸せになろうな。あと写真は服部に頼もうか」
「そうですね」
雪乃さんに撮ってもらいたい気持ちもあるけど、それは将来家族が増えたら撮ってもらうことにして。
恋人役ではなく、本物の恋人になった私たちを撮ってもらいたい。
どんな風に写るのか。
今から楽しみだ。
「明日話しておくよ」
「私からも連絡しておきます」
そう言うと月城さんは微笑み、小さく頷いた。
「あれ?『連絡は俺がするからしなくていい』って言われるかと思いました」
笑って言うと月城さんも笑った。
「さすがに言わないよ。でもたとえ結婚したとしても独占欲強めでいくと思う」
「好きだから?」
聞くと月城さんは今までで一番の笑顔を見せてくれた。
私はその笑顔を一番近くで見られる喜びを噛み締めていた。