カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「いいな」

月城さんは私を見て微笑んだ。

「普段もそんな風に笑顔を見せてくれたらいいのに。それからこんなやり取りも。出来たら俺は多少気が抜ける」

月城さんは表にこそ出さないけど、会社の経営を立て直さなければならないと必死だったのだ。

「私に出来ることは全力で頑張ります」
「ありがとう、心強いよ。俺は」
「月城さん」

月城さんがなにかを言いかけた時、誰かが月城さんに声を掛けた。
私はさりげなくその場を離れるために、飲み物を取りに行こうとその場を動く。
でも月城さんが私の腕を掴んで離さない。

「ご用件は?」

月城さんは私の腕を掴んだまま、スタイルのいい、綺麗な女性に受け答えをした。
私は月城さんと女性を交互に見て状況を確認。

「少しお話しできないかと思いまして」

そう言うと女性がこちらを見てきた。
その視線からは二人きりにしてほしいという無言の訴えがあり、察知した私は「どうぞ」と答えるように身動きを取る。
でもやはり月城さんの手が私を制す。

「彼女も一緒で良ければ」

月城さんが笑顔で答えた。

「あ…えっと…」

困った様子の女性を見て、黙っているのが忍びなくて「あの」と声を掛けた。
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