カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
モデル
ただ職場で月城さんが笑うことは滅多にない。
軽口叩けるのなんて夢のまた夢くらいのレベルで忙しいのだ。
「あの」
帰る間際にやっと声をかけられた。
でも目頭を押さえ、疲れている様子の月城さんを見たら切り出し方が分からなくて言葉に詰まってしまう。
「どうした?具合でも悪いのか?」
月城さんが立ち上がり、私のおでこに手を伸ばしてこようとしたので、慌てて一歩後退する。
「具合は悪くありません。元気いっぱいです。むしろお疲れなのは月城さんの方ですよね?ちゃんと休めていますか?」
「大丈夫だ」
その言葉と声色と表情が合っていない。
私は席に戻り、机の一番下の引き出しから栄養ドリンクを取り出し、手渡す。
「これ、効きますから。どうぞ」
「ありがとう」
月城さんが一気に飲むのを見届けてから空き瓶を受け取り、捨てる。
「それで?なにか話があるんだろう?」
「あ、はい。その、先日の写真をパソコンの方に送らせていただきました、というご報告です」
「もう出来たのか?」
頷くと月城さんはマウスに手を伸ばした。
「あ!目を休めてほしいので確認は後日で大丈夫です!」