カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
そういえば何日か前に相談したいことがあると言っていたことを思い出す。

「モデルなら私より適任がいるから紹介するよ」

私の頭の中には奏音さんの姿がパッと思い浮かんでいた。

モデルと言っても過言ではない奏音さんの容姿はどんな場面にも映える。

「いや、知らない人より知ってる加藤がいいんだよな。あとは」
「悪い、待たせた」

月城さんが戻って来た。
急いで来たからか呼吸が浅い。
アイスコーヒーを月城さんに手渡すとカシャっとシャッター音が響いた。

「なに？」

シャッター音に振り向くと服部くんがカメラの液晶で画像を確認しているではないか。

「今、撮った？」
「うん。やっぱりいいな」
「何が？」

聞くと服部くんは私と月城さんを交互に見て言う。

「加藤。月城さん。ふたりで恋人役をお願いできませんか？」
「また？！」

ついそう言ってしまったけど、事情を知らない服部くんは不思議そうな顔をしている。
なんでもないと首を横に振り、月城さんの方を向く。

「どういうことだ？」

月城さんは服部くんに問いかけ、服部くんは私に話した内容を遜色なく伝えた。
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