カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「冷やしてあげよう」
「え?!」
驚いている間に月城さんの冷たい手が頬に触れた。
全身が脈打つ。
それほどに速まった鼓動のせいで血流が良くなり、頬の熱はなかなか下がらない。
「熱いな」
「ドキドキしているので」
隠しようもなくて正直に言うと月城さんは柔らかく微笑んだ。
「目は?まだ閉じないのか?」
「閉じません」
でも嫌じゃない。
むしろ月城さんの気持ちが光栄で嬉しくて、ドキドキするけど嫌じゃない。
肩肘張ってしまうような相手なのに……。
「あれ?」
たしかに月城さんは見た目もステータスも雲の上のような人だ。
でもこうして普通に会話は出来ているし、意外と言いたいことは言えている。
肩肘張っていたのは始めのうちだけで今はそんなことない。
それはつまり、私は月城さんを好きになる可能性が大いにあるということで、むしろこんなにドキドキするのだから惹かれ始めているということ。
万が一、周りに知られてなにか言われる恐れはあるけど、このまま逃げるのも違う。
「私、恋人役に挑戦してみてもいいですか?」
月城さんに確認を取るように聞くと、月城さんは微笑んだ。
「もちろん」
「よろしくお願いします…って、わっ!?」