カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「世の中の男はどうなってるんだ。こんな美人を放っておくなんて」
「加藤は趣味が充実してるし、勉強も仕事もできるから『この子には男なんか必要ないんだろうな』って思わせちゃうんですよ」
服部くんがカメラを構えながら続ける。
「男慣れしてないんです。だから月城さん、エスコートお願いします!」
服部くんは月城さんにまたウインクして親指を立てた。
それに対して月城さんは服部くんの方から私に視線を向けるとジッと見つめてきた。
気恥ずかしくて俯くと、月城さんはそっと私の頬に手を触れた。
何度か触れられた手の温もりに慣れもあって顔を上げると月城さんが真っ直ぐ見つめてきた。
まるで心の中を読もうとしているかのような真剣な眼差しにドキっとしてしまう。
でもシャッター音に気付き、ここで視線を外すのは違うと私も見つめ返す。
すると月城さんは突然、頬から手を離し、顔を背けた。
「ごめんっ」
「どうかしましたか?!」
なにをしたわけでもないけど、なにかしてしまったのかと焦る。
「ちょっと耐えられなかっただけだ。悪い」
「いえいえ〜」
服部くんの軽い口調で場の空気感が変わった。