カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「次はここ、芝生。そしてこれ!」
服部くんが取り出したのはシャボン玉。
「童心に帰って遊んでください」
手渡されて久しぶりのシャボン玉に心が浮き立つ。
早速蓋を開けて、フーッと吹くと綺麗なシャボン玉が浮かび上がり、自然と口角が上がった。
「月城さんもやってみてください!」
「俺は見てる方がいいんだけどな」
そう言いながらも月城さんは同じようにフーッと吹いてくれた。
「もっともっと吹いて」
服部くんに言われてたくさんのシャボン玉を吹く。
「そのシャボン玉ふたりで捕まえて」
指示通りに動いているだけなのに、シャボン玉を追いかけている自分が本当に小さい頃に戻っているような気がして楽しくなる。
「月城さんもこんな風に遊びましたか?」
椅子に腰掛けシャボン玉を吹いたり見たりしながら話しかける。
「そうだな。遊んだな。あとは鬼ごっことか」
鬼ごっこをする幼い頃の月城さんを思い浮かべる。
「きっと可愛かったんでしょうね」
月城さんを見ると、月城さんも私を見た。
「きみも。可愛かったんだろうな」
いつか幼い月城さんを見てみたい。
ふとそんな風に思って微笑むと服部くんからOKの声がかかった。
「今の良かったですよ!次もお願いします!次は鬼ごっこなので」
「本当に?!」
聞くと服部くんは頷いた。