カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「これ、手作りか?」
月城さんが驚いたように服部くんに聞く。
「俺の、じゃないですよ。彼女が作ってくれました」
服部くんがそう答えると、月城さんはなぜか私の方を見てきた。
「え?なんですか?」
思い当たる節がなくて聞くと見兼ねた服部くんが言葉を重ねる。
「加藤じゃないですよ。彼女っていうのは俺の恋人のことです」
「恋人」
呟くように復唱した月城さんに服部くんはニヤリと笑う。
「月城さん、俺が加藤のこと好きなんじゃないかと思っていたでしょ?」
「え?そうなの?!」
予想外過ぎて思わず口を挟んでしまった。
「もちろん、俺は加藤のこと好きだよ。見た目も中身も。でも俺じゃ愛される自信がないから。身の丈に合った、って言ったら失礼か。愛し、愛される女性が今の彼女なんです」
「それ、いいね」
羨ましいな、と思って服部くんを見ると照れたように後頭部をかいた。
「でもそんな大事な彼女の手作りを俺たちが食べていいのか?」
「大丈夫です!ていうか、むしろ大丈夫ですか?一応、管理栄養士の資格を持っている彼女なんですけど知らない人間が作ったものとか」
「いただくよ」
月城さんがレジャーシートに腰掛け、箸に手を伸ばしたので、私も続いて対面に座り、箸を手に取る。