カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

•手を繋いで歩く。
•見つめ合って微笑む。
•シャボン玉。
•跪いて、ブーケを渡す、求婚シーン。
•とにかくギュッとくっつく。
•顔を見合わせて笑う。
•バックハグ。
•おでこくっつける。
•バックハグ、男女逆。
•加藤、月城さんを少し見上げる感じで、月城さんは加藤にキスする感じで見下ろす。
•加藤が月城さんの頬にキスする。

「ちょっと色々大変なんですけど?!」

文字を読んだだけで頭がクラクラしてきた。

「そう?でも最後に夕日でシルエット撮らせてほしいから、時間はたっぷりある。頑張ろう」
「時間の問題じゃなくて」

恋愛経験のない人間にはハードルの高いシーンが残っている。
頬にキスなんて。
難題を前にして途方に暮れる。

「少しだけふたりの時間をくれないか?」

見兼ねた月城さんが服部くんに提案した。

「残りのシーンを撮るのに彼女には心算が要るだろうから」
「月城さんは大丈夫なんですか?ていうか撮っていて思ったんですけど、もしかしてモデル経験あります?カメラに全然臆さないですよね?」

服部くんの問いかけに月城さんは「あぁ」と小さく答えた。

「やっぱり?!そしたら今日の撮影、料金発生します?!」

服部くんの焦った声に月城さんは眉根を寄せて微笑んだ。
< 56 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop