カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

それからレジャーシートを小さく折り畳み、まとめ終えるとちょうど服部くんが戻ってきた。

「片付け、ありがとう。もう休憩は大丈夫?少し天気が怪しくなってきたから巻きでいこう。こっち来て」

服部くんについて行くと雑木林の奥に青、紫、白の紫陽花が咲いていた。

「わぁー…綺麗」

紫陽花に引き寄せられるように近づく。

「花を二人の手でそっと触れるようにしてみてくれますか?それからふたりの手でハートを作って紫陽花がバックに映るように…はい、そうです。そのまま」

表情を作らない分、楽で撮影が順調に進む。

「じゃあ次は紫陽花と紫陽花の間に入ってもらって、そこで月城さんは加藤のこと後ろから抱きしめてください。加藤は後ろに立つ月城さんを少し見上げるような感じで」

指定された場所に立つと月城さんが私をそっと優しく抱きしめてくれた。
これは何度されてもドキドキする。
でも月城さんの私を抱きしめる腕の感じと温もりは心地よくて、ずっと包まれていたいとさえ思う。
目を閉じ、月城さんの温もりを感じてからゆっくり月城さんを見上げると優しい笑顔で私を見下ろしてくれていた。
ゆったり癒されていた胸がまた加速していく。
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